「社会」のない国、日本 ドレフュス事件・大逆事件と荷風の悲嘆/菊谷和宏
「社会」のない国、日本 ドレフュス事件・大逆事件と荷風の悲嘆 (講談社選書メチエ)
菊谷 和宏
買取価格 530円
「コンヴィヴィアリテ」フランス語で「共に―生きる事」と云うような日常的な言葉らしいですが、筆者も書いているようにピッタリ合う日本語が見当たらないらしいです。
「ドレフュス事件」「永井荷風」「大逆事件」まだ作家はわかるとして、なんだかよくわからない事件の三点から構成されています。
フランスの一大冤罪事件からエミール・ゾラ、そして永井荷風、幸徳秋水と話は繋がっていくのですが、一つの事件では無罪になり、日本の事件では12名が処刑されたという事実を照らし合わせながら、両国の違いを探っていくという一冊。
荷風の「ふらんす物語」の日本という国を外から見た場合の国家、また発禁処分の顛末までを引用しながら、国家と云うものは何かを問いかけられます。「ふらんす物語」をそういう角度で読んだ覚えがなかったのでこれはかなり新鮮でした。
現状を打破するためには些細な事からでも始めよう。「相手の話をよく聞く」「子供の意見も無下にしない」「差別(いわれなき排除)をしない」「虐めに加担しない」等を著者はあげています。
馴染みの無い社会学の本ではありますが、わかりやすく、考えやすい本でした。
ヘイトスピーチから派遣労働までさまざまな切り口から、国家、共同体、社会、日本を考え、模索する為の一冊。
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