地下水路の夜/阿刀田高
地下水路の夜
阿刀田 高
買取価格 263円
しばらく、読んでいなかった著者の新作です。阿刀田高氏といえば短篇の名手。
星新一氏と並んでショートショートの書き手というイメージがありましたが、今回は少し長めの短篇(?)が12作品。タイトルにある子供の頃、地下水路で出会う謎の女性、そして本にまつわる話。
「ヨセフを調べてくれ、アリマタヤのヨセフ…」という謎の遺言の話。相手の薬指を握るといろいろな事がわかってしまう話など…
さらりとした文章なのですが、一つ一つの作品がどれもみな読後にじわっときます。
短い作品なのにどれも映画を味わっているかのようです。
本の帯に「著述生活半世紀」とありましたが、阿刀田氏は現在80歳。
人生経験と年数だけではこんな作品は作れないなあ、と何回か読み返してはそこここに光るものを発見して楽しみました。(よく読まないとあちこちに仕掛けがあります)エンタメのように軽くはなく、かといって純文学のように難解・重厚でもなく、ある程度を読み手にゆだねているという処もあって久々に楽しんで読み終えました。
短篇以外にも古典や聖書をわかりやすく書いた物もだされていたのですね、調べるまで気がつきませんでした。
早速、「○○を知っていますか」のシリーズをさがして読んでみようと思った次第です。
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