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微積分にひそむ「エニグマ」の正体を探る!

2015年07月23日 category : スタッフおすすめ本 

微分積分学の誕生
デカルト『幾何学』からオイラー『無限解析序説』まで
高瀬 正仁

微積分にひそむ「エニグマ」の正体を探る!

ギリシャ時代からの難問である作図問題を、「曲線を方程式で表す」という着想に基づいて明快に解き明かしたデカルト。
しかし、なぜ彼は、「曲線の法線を引く」ことに強くこだわったのか。

曲線の接線法と極大極小問題を同じやり方で巧みに解いたフェルマ。
しかし、なぜ彼は、全く異なる問題が同じ方法で解けると見抜いたのか。

「万能の接線法」を発明し、どんな曲線にも接線を引けると言いきったライプニッツ。
彼の言う、「無限小の長さを無限につなげた曲線」とはどういうものであったのか。

微分積分学が生まれ育つまでの数学者たちの思索の森へ読者を誘い、
新しい数学が創られていく過程を鮮やかに描き出す、著者入魂の一冊。

エニグマ (Enigma) とは、第二次世界大戦のときにナチス・ドイツが用いていたことで有名なローター式暗号機のことで、その名は英国の作曲家エドワード・エルガーの変奏曲36番 「Enigma」 から取られたものだそうだ。

この暗号機によって作られた換字式、詳しくは順変多表式の暗号も広義にはエニグマと呼ばれ。これは、一時は、難攻不落の暗号とまで云われていたものだった。
微分積分の世界に接することは暗号解読と等しいという例えだろうか。

微分積分などと聞けば、たいていの方は自分とは無関係の雲の上の話であり、敬遠される。たしかに、数式をただただ羅列し、何に使って、どう役に立つのも解らないといった授業などは詰まらないものの極地だから無理もない。

でも、数学や物理学や化学の歴史や成り立ちを読み物として読むことは非常に面白い。

確かに当たりはずれはあるが、たとえばフェルマーの大定理が証明された時に出版された関連本は、難解な証明を判りやすく(?)解説し、個々の定理を模索した数学者たちの取り組みや、その生涯を描き、それらの蓄積が定理の証明に関わって行く様はまるで推理小説だった。

フェルマーの大定理は楕円関数を使って証明されたが、整数論の延長なので、本書で扱っている微分積分とは微妙に異なるが、フェルマーは微分積分にも精通していたようだ。

微分積分の生みの親と言えばニュートン、ライプニッツだ。そもそも微分積分は、物理学解析の為に考案されたものらしい、同じ時期にニュートンとライプニッツが別々に生み出した考え方で、その優先権争いが有名だ。

時の流れを微小時間に分解して、その瞬間瞬間の物の動きを記述する、そしてそれらを逆に積算していくことで大きなものの動きや流れを捉える。だから、微分積分は物理学に主に使われ、時間に対する微分や、積分で論じられることが多い。

それ故、微分積分に関わるエピソードは物理現象に関わることが多い。そんな風に使われる微分積分を本書では、まずデカルトをとり挙げて幾何学から入っているのが非常に目新しく感じる。

幾何学は図形を読み解く学問だが、その軌跡を関数で表すことが出来る。それによって作図から解く問題も、方程式を解くという切り口が可能になり。微分を使って接線を求め、積分によって面積を求めることが可能になった訳だ。

数学を、微分積分を嫌う方々の気持ちは良くわかるが、その成り立ちを知ることで興味を持つ事が出来るようになる本だと思う。

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