無敵の怪盗紳士の前に、立ちふさがるか名探偵
ルパン対ホームズ
モーリス・ルブラン 平岡 敦
無敵の怪盗紳士の前に、立ちふさがるか名探偵。シリーズ中屈指の人気作を最新訳で贈る。
ルパン対ホームズと聞いて、最近の若い方々はどうだろう、ルパン三世と名探偵コナンのコラボの新作か小説と思うだろうか。
アルセーヌルパン:怪盗紳士と呼ばれるフランスの大泥棒。100年くらい前にモーリス・ルブランによって生み出された。モンキーパンチ氏による漫画、ルパン三世はアルセーヌルパンの孫に当たる設定のようなのだが、定かではない。
シャーロックホームズ。言わずと知れたイギリスの名探偵。こちらも100年ほど前にコナン・ドイル氏によって生み出された人物だ。シャーロキアンと呼ばれる根強いファンも少なくない。青山剛昌氏の漫画、名探偵コナンと特別な関係は無い。
昭和30年代生まれには懐かしい、江戸川乱歩の少年探偵団シリーズと双璧をなす外国作品だった。
どちらかというとホームズよりはルパンの方が華やかな感じだったし、「813」とか「奇岩城」といった、謎解きと冒険活劇が一緒になった内容が魅力的だったと記憶している。
そんな中、ひときわ異彩を放った一冊が「ルパン対ホームズ」だった。
作者はモーリスルブラン、この本を読んだ私はシャーロックホームズもルブランの作かと勘違いをしてしまっていた。
初めて読んだシャーロック・ホームズは「おどる人形の秘密」それでコナン・ドイルを知った。
実は原作で描かれていたのは、イギリスの名探偵シャーロック・ホームズを基にしたパロディーキャラ「エルロック・ショルメ」だったというのを知った。
「エルロック・ショルメ(Herlock Sholmes)」は「シャーロック・ホームズ(Sherlock Holmes)」のアナグラム(文字の並び替え)になっている。
当初はホームズそのものを登場させたのだが、別キャラとして構築していったというのが経緯だそうだ、ルブランがドイルから抗議を受けたという事実は残っていないことから、ドイルはショルメの存在を黙認していたらしい。
しかしながら、日本語に訳されるときはショルメをホームズとするのが慣例になっていたとのことなので、私のような勘違いをする人が多かったのだろう。当時はアナグラムとかパロディといった概念が日本人には無かったのかもしれない。
閑話休題、つまらない話は抜きにして素直に名探偵と大泥棒の対決を楽しもうではないか。