男のロマン!に満ちた冒険譚。
探検隊の栄光
荒木 源(著/文 他)
2015年10月公開映画化原作!
80年代。効果音や独特の節回しのナレーションなど、サービス精神に満ちた過剰な演出で秘境の地を探検する人気テレビ番組シリーズの撮影クルーたちは、幻の大蛇・ヤーガを求めて亜熱帯の地を彷徨っていた。もちろん、架空のかたちでしか存在しないヤーガを「登場」させるべく、洞窟にて準備をしていたクルーの一人が、空になった薬莢などを発見。ほどなく、彼の地で現政府の打倒を試みるゲリラたちにより、クルーはあっけなく囚われの身となるが――。
ベストセラー「ちょんまげぷりん」作者がガツンと描く、スリル!笑い!男のロマン!に満ちた目眩く冒険譚。
この小説のモデルとなっているのはもちろん、「川口浩探検隊シリーズ」だろう。
1977年(昭和52年)から『水曜スペシャル』(テレビ朝日系)で放送開始、シリーズは全43回に及んで人気を博した。
南半球のジャングルを中心とした世界各地の秘境に猛獣・UMA・少数民族などを求めて探検するという企画で、隊員が罠にかかったり、蛇に噛まれるなどの大胆な内容だった。もっとも、それは過剰な演出で、いわゆる「やらせ」だったのだが、「ドキュメンタリー」ではなく「エンターテインメント」として、それを承知で、うそを楽しむといった番組だったのだと思う。
そうは言っても、ジャングルなどの辺境など過酷な環境でのロケは命がけであったらしく、実際に、1983年(昭和58年)6月に放送された『恐怖!ブラジル魔境に人食いピラニア大軍団を追え!逆襲死闘』で、川口氏はピラニアに指を噛まれて負傷。後に出演したバラエティ番組ではこの時の傷跡を公開している。長らく再放送の機会もなく、映像ソフト化の進展もなかったが、2005年(平成17年)にユニバーサルミュージックからシリーズ中6本が初めてDVD化され、発売されている。今だに、この番組のファンが多いらしく、ファンサイトも存在している。
後に嘉門達夫がこの番組を皮肉った曲『ゆけ! ゆけ! 川口浩』(1984年)を歌ってヒットしたのも、皆に愛された番組だったからだろう。
そんな番組を題材にした小説ならばきっと面白いに違いない。
この作者による小説「ちょんまげぷりん」は映画化され、2010年7月、全国36スクリーンの小規模公開ながら記録的な人気を博した、10,20代の女性を中心に面白いのに感動できると評価されているそうだ。180年前の江戸時代からタイムスリップして来た木島安兵衛なる男。遊佐家の居候となって家事を引き受けたり礼儀や作法を子供に教えたりしていたのだが、作ったプリンが評判になるという不思議な内容だ。