地球の中心までトンネルを掘る/ケヴィン・ウィルソン 訳:芹澤恵
地球の中心までトンネルを掘る (海外文学セレクション)
ケヴィン・ウィルソン 芹澤 恵
買取価格 777円
心理サスペンス・ホラー・ダークファンタジーの要素を持つ文学作品に与えられるアメリカのシャーリイ・ジャクソン賞、2009年受賞作品です。(日本人では2012年鈴木光司氏の「エッジ」が受賞作品です。)
11の短篇からなるこの本、登場人物はみな普通の人、「あなた」だったかもしれない物語の帯のキャッチコピーどおり、読めば読むほど自分に置き換えたり、いろいろな想像ができる作品。
文体は若い語り口、登場人物も若者が多いのですが、作者は何歳なのか調べてもわからず、なんとなく若い人ではないような気がします。作品が円熟しているせいもあるのですが、底辺に流れているリズムが若くないというか(良い意味で)安心して読める一冊です。(ダークファンタジーである事もお忘れなく…)
タイトルにある「地球の中心までトンネルを掘る」も終わりがまるで予想不可でした。
好きな作品は「Go, Fight,Win」10代にありがちな少しディスコミュニケーションの女の子と、少年のお話。
ほんの少しジンワリ来ました。「今は亡き姉のハンドブック:繊細な少年のための手引き」はちょっとニヤニヤしながら読んでみてください。
作者第一作の「The Family Fang」はニコール・キッドマンが映画化権を獲得したというのが見返しに記載がありますが、まずは邦訳になるのが待ち遠しいです。
映画化が決定しないと邦訳が出にくいというのが現状ですが、埋もれさせてはイケないと思いますよ、頑張れ東京創元社!!