日々の光/ジェイ・ルービン 訳:柴田元幸 平塚隼介
日々の光
ジェイ ルービン Jay Rubin
買取価格 973円
戦後70年の文字が多く見られた今年、多くの戦争に関する本が出版されましたが、個人的に一番響いた作品。
著者のジェイ・ルービンは夏目漱石、芥川龍之介、最近では村上春樹の翻訳者として有名な方ですが、本書は初めての長編小説。
時は1939年から1963年までの、およそ30年に及ぶ戦争によって引き裂かれた愛と苦悩の物語。
舞台もアメリカのシアトルからミニドカ日系人収容所、戦後の東京、原爆投下後の長崎とめまぐるしく変わっていきます。
登場人物は日本人家族と傷ついて渡米した妹の光子、現地の日系人、そして主人公である母親を産まれてすぐに亡くした牧師を父に持つアメリカ人のビル。
戦時中の日本の状態というのは情報も沢山ありますが、アメリカに渡っていた日本人がどのような状況下におかれていたかはまるで想像していなかったので、この中に出てくる事はすべて衝撃的でした。砂漠の真中に作られた日系人収容所。(第四章挿絵に地図が有り、収容されていた過酷な環境は地図と文章で推して知るべし)
とりわけ、長崎のシーンではどの映像よりも、他の文書よりも原爆の悲惨さと、人間の愚かさを改めて知らされた思いでした。
原題「THE SUN GODS」は光子だけではなく古くからの日本人がお日様に手を合わせる事からきたものと思われます。
読み始めから終りまでめまぐるしく変化していく為、いつもの並行読書の一冊ではなく、目が離せず、完読までかかりきりになった一冊。
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