悲素/帚木蓬生
悲素
帚木 蓬生
買取価格 614円
現役医師が書いた渾身の『毒』長編小説。
あまりのリアルさと、【毒物】づくしの内容に途中、何度か休憩を入れながら完読。
【サリン】【タリウム】今まで聞いた事のない文字がメディアで取り上げられる機会もあり、悪い意味での身近になってしまったこの頃、この本も多くの犠牲者を出したヒ素中毒事件を廻る医師達と刑事達の地を這うような捜査と検証がテーマとなっています。入手が簡単でしかも検出されやすい事から「愚者の毒 fool’s poison」という別名もあったようです。(韓国ドラマだと「銀の箸」が変色するっていうアレね、実際は変色するまではけっこうな時間がかかるとの事)
抗生物質が発見される前までは薬としても用いられていたヒ素。毒として用いられたのも古来から、世界中で悲劇は起きていた為、小説の題材になる事も多かったようですが、これは重たい一冊でした。まだ解明されていない部分と犯人の動機も不明の実際におきた事件なのでなおさら重い。ひさびさに本読んで疲労感を覚えました。
本文中に資料としてアガサ・クリスティーの作品等も多数登場、未読の物ばかりなのでそちらも読んでみようかと思った次第。
気分リセットの為に散歩にでたところ、彼岸花がまだキレイに咲いていて、確かこれも毒があったはず、梅雨時に見事だった紫陽花にも毒が、水仙にも…なんと身近なところに…自然界には普通に存在しているわけで、何事においても使う人間の判断にゆだねられているという事を改めて痛感したところです。
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