空海/髙村薫
空海
高村 薫
買取価格 582円
新聞連載であった『21世紀の空海』を加筆訂正でまとめた本書。
髙村薫氏の小説以外の連載という事もあって気にはなっていました。
空海と云えば弘法大師の名前でも呼ばれ、他にも大師と名の付く人は複数いますが、「大師は弘法に取られ、太閤は秀吉に取られる」の言葉どおり突出した高僧のイメージ。
布教活動のみならず、土木事業(満濃池等)や、鉱山事業でも名を知られています。
さまざまな側面を持つ空海ですが、髙村薫氏の切り口が他の解説書や研究書には無い部分が多く、新鮮な気持ちで読み終わりました。
世界遺産でもあり、フランスのミシュラン・グリーンガイドジャポンで三ツ星を獲得した高野山。
海外からの観光客も多く、修行道場でもありながら、観光地としても有名(ゆるキャラこうやくんも有名)
空海が1200年前に開き、今なお「奥の院」と呼ばれる場所は大師様がご入定されている聖地でもあります。
本書の写真にもありますが、留学僧として中国へ向かうために乗り込んだ遣唐使船はあまりに小さく、100人程の乗り込んだとはとても信じられないような大きさでした。
いつ着くともわからない旅と中国へ着いてからの陸路での移動。言葉のわからない状態での文書でのやりとりとかは今の時代ではとても想像すらつかない話で、ましてやその状態での仏教の教えを頂き日本に持ち帰るという…
どれほどの使命感があったのか…
「谷響きを惜しまず、明星来影す」というお大師の言葉から始まる空海の肖像を描き切った本書は圧巻!!
いずれ、四国遍路を試みたい、そして同行二人の意味を感じてみたいと思った次第です。
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