民を殺す国・日本:足尾鉱山事件からフクシマへ/大庭健
民を殺す国・日本: 足尾鉱毒事件からフクシマへ (筑摩選書)
大庭 健
買取価格 550円
4年前に起きた原発事故と100年前に起きた足尾鉱山事故をテーマにこの国の「構造的な無責任」を糾弾する倫理学者の渾身の一冊です。
「足尾鉱山鉱毒事件」に関しては少し前にNHKのTVドラマで放映されたのでご存じの方も多いかもしれません。
足尾では今なお鉱毒の影響で森林が復活していません。原発だけではなく自然を破壊してしまう物は我々の想像以上のものがあるのではないでしょうか?
内容はかなりハードな内容なので心して読みにかかってください。
著者は「福島原発」とは言わず、通常原発の名前を言うときは「柏崎・大飯・川内」等の地名を使われる事が多いのに、福島に限っては「双葉・大熊」という表現をしない事にも抵抗があるとの事であえて「東フクシマ」という表現を使用しています。
確かにメディアで聴く「福島」とい言葉には福島県自体に何か不都合な事が起きているイメージしかなく、福島で生産されている野菜やお米、魚介等にも何かがあるかと錯覚をされる可能性が十分にあります。
こういう事の一つ一つが風評被害という現象を起こしてしまう原因にもなりうるのですね。
芥川賞・直木賞の選考でも震災関係の物は漏れるという話も小耳にはさみました。
事実を元にした事さえ時間経過で蓋をしたいという気持ちの表れなのでしょうか?
未だに解決していない事、これからの先の見通しの立たない事実。新聞にはどのような現状か毎回載ってはいますが、どれほどの人が目を通しているか、関心を持っているか…
いろいろな事実を風化させない為にも手にとっていただきたい一冊です。