空にみずうみ/佐伯一麦
空にみずうみ
佐伯 一麦
買取価格 720円
気ぜわしい年末となりました。お正月本として用意しておいた本でしたが、なんとなく今の状況で読みたくなりました。
佐伯一麦(かずみ)氏の作品は初めてですが、淡々としていて、それでいて引き込まれるモノがありました。
帯に「あの日から4年、積み重なった歳月をみつめていた。」とあるように、著者自身も宮城県作並温泉在住。
いわゆる「私小説」のジャンルの作品です。2014年から2015年まで読売新聞夕刊に連載されていた作品集。
震災後に変わってしまった景色も含め、植物や鳥や小動物が沢山登場します、いわゆる雑草と呼ばれるような類の花も。
すべて著者の庭先など身近なところにいるものばかり。名前を見てから画像を探して、この花はこんな名前だったかと思うような事もありました。
チャペックの「園芸家12カ月」やルナールの「博物誌」太宰治の「ア、秋」等々の登場もあり、ページをめくるたびにさまざまな思いが…改めて読み返したい懐かしい本達。まだ未読の魯迅の「野草」や「古今和歌集」も引用されているので、またお正月本に追加されていきます。
性別にかかわらず、字のきれいな人(ウマい人ではなく)と植物の名前をよく知っている人は、なんの抵抗もなく尊敬してしまいます。(ちなみに私自身は悪筆、象形文字もかくやといわんばかりの文字で周りに迷惑をかけております)
散歩の途中でも、これは○○という名前の花ですよ、とか言う事ができたら、間違いなくモテるような気がします。
(気がするだけで補償は請け負えませんが…)
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