且座喫茶/いしいしんじ
且坐喫茶
いしい しんじ
買取価格 532円
タイトル「且座喫茶」(しゃざきっさ)は臨済録「師(し)云(いわ)く、竜(りゅう)、金鳳子(きんぽうす)を生(しょう)じ、碧琉璃(へきるり)を衝破(しょうは)す。平(びょう)云(いわ)く、且坐(しゃざ)喫茶(きっさ)。」から、まあ、座ってお茶でもいかが?のような意味。
軽い気持ちで読み始めましたが、茶道というのはなんと深くて真剣勝負なのかと思う事しばし…お茶席は戦場でもありました。
著者曰く、お茶は濃緑の血であると…、読みすすめていくと戦国の武将達が何故茶道にハマっていったのかがわかる気がしました。
お茶関係の本は千利休がらみでは読みましたが、実際のお茶席に臨んだのは数える程。今現在進行形でお茶を勉強している人の話はなかなか奥深くて、お道具や、お花の解説は特にないのですが、その場に臨まれた時の空気感が伝わってくる一冊でした。
本書の中でも言われていますが、お茶は、花、書、着物、香り、建築、味、ことば、日本の美意識がすべて映り込んだ総合芸術。死生観すら入り込んでいます。
あいまいな生を生きているものには、あいまいな死しかやってこない。
もったいないといいながら、時間を無駄に、物事を粗末に扱っている私自身にも今年一番に響いた言葉。
「門松は冥途の道の旅の一里塚、めでたくもありめでたくもなし」と詠んだのは、あの一休宗純ですが、慌ただしい年の瀬を迎えながら、読後は上等のお茶席に臨んだ後のような良い心持になりました。
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