ヨイ豊/梶よう子
ヨイ豊
梶 よう子
買取価格 576円
154回直木賞候補作品、ノミネート初の梶よう子氏です。私的にはノーマークの時代小説作家でした。
読後、がっつり持って行かれた感がありました、圧巻の時代小説、候補作2作を読んだだけでこんな事を言ったら申し訳ないけど、取って欲しいとさえ思いました。幕末から明治に変わる日本の中で浮世絵を残す為に奔走する清太郎の姿と、破天荒な八十八との友情に気がつけば落涙…時代小説に新しい風が吹きこまれたようです。
伊藤若冲の絵は好きでよく見ます、他の浮世絵は広重とかの風景画以外はあまり興味が無かったのですが、どうも人物画の方も奥が深いというか、知らない部分も沢山あり、役者絵も改めてみて見るよいきっかけとなりました。
SNSもTVも無い時代の流行の伝わりかたというのは、クチコミオンリーだった訳ですが、それでも流行り廃りというのは今の時代と変わらず伝播されていたのは浮世絵のおかげもあったかと。(今はブロマイドなんでものすらわからない世代もいるかもしれませんが、ようはアイドルの生写真みたいなもんです)
新聞代わりのかわら版では伝えきれない画像の部分を華やかな形で伝え、尚且つ不要になれば障子やふすまの補修にさえ使われたという浮世絵。
紙と口コミで人々が繋がっていた江戸時代、260年も続いていたのですから、なんと平和で落ち着いていた時期だったかと思います。
それが良いか悪いかは別としても、タイムマシーンがあれば未来よりも過去に行ってみたいと思う初春の頃なのでした。
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