未成年/イアン・マキューアン 訳:村松 潔
未成年 (新潮クレスト・ブックス)
イアン マキューアン Ian McEwan
買取価格 615円
著者はサマセット・モーム賞、ブッカー賞等を受賞した現代イギリスを代表する1人。
他の作品未読、映画化の「贖罪」(2001)もまだ読んでいません。(湊かなえ版ではなく、映画タイトルは「つぐない」です)
海外モノですが、表紙が気になったので手にとってみました。(これも年末年始本のうちの一冊)
読みだしたら止まらず結局一気読み、夫婦とは?信仰の自由とは?二つのテーマが主ではありますが、根底には命を本当に救えるものは何か?などなど読後じっくり考えてしまいました。
魂を救うはずの信仰が医療を拒絶した場合、何が命を救えるのでしょうか?
主人公である女性裁判官は突然、夫からの理不尽な申し出を聞かされます。何も納得できないまま結婚生活が不安定な状況に、仕事では宗教上の理由で輸血ができず、なおかつ成年とみなされる誕生日まで数カ月ある少年の案件に関わります。
仕事に追われる中、自身は子供を持つきっかけを持てず裁判官として家庭問題に取り組むのですが、成年となる基準とは何であるか?自分自身の内側にある成熟していない部分にも気づかされながらじっくり読んでみました。
「人間50年下天の内をくらぶれば夢幻のごとくなり」(敦盛より)を引き合いに出しだのは織田信長ですが、平均寿命も延びてきた昨今、50歳から先が男女とも、30年以上あります。上手く熟成していかないと、メディアで見かける事の多くなった、とんでも暴走老人になりそうで怖ろしいと思う今日この頃です。
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