みんな彗星を見ていた 私的キリシタン探訪記/星野博美
みんな彗星を見ていた 私的キリシタン探訪記
星野 博美
買取価格 588円
サブタイトルに私的キリシタン探訪記とありますが、私的とは思えないボリュームと濃い内容に読後、しばらく他の本が読めなくなりました。カバー絵にある古典楽器『リュート』に魅かれていく話から始まり、日本史の中でさらっと習った覚えがある【天正遺欧少年使節】(てんしょうけんおうしょうねんしせつ)
織田信長により伊東マンショ・千々石ミゲル・中浦ジュリアン・原マルティノの13~14歳の四人の少年がキリスト教の見聞のためヨーロッパに派遣されるのですが、帰国中、日本では豊臣秀吉によるバテレン追放令が出ているという、まさに政治と宗教に振り回される人生を送ります。
著者はミッションスクール出身ですが、家は曹洞宗の檀家でもあり、たまたま立ち寄った書店のポスターから私的キリシタン探訪が始まります。告知は2008年11月24日長崎での大列福式。(ローマ教皇から「福者」と認定された人の認定式)その中に中浦ジュリアンの名前を発見します。かつて夢中になった大河ドラマ「黄金の日々」等も思いだしながらグイグイ長崎とキリシタンに魅かれていきます。
旅は長崎原城から大団円スペイン北部ビルバオまで6年に及びます。著者がまえがきでも書いているように、点と点を結ぶ地道な作業が一冊の本というかたちになって私達の手の届くところへ現れます。
命をかける信仰というものはまだ出会う事もなく、わからない部分も多いですが、世界遺産の影に隠れている歴史の一部分に触れた読書でありました。
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