寺田寅彦 科学者とあたま/寺田寅彦
寺田寅彦 科学者とあたま (STANDARD BOOKS)
寺田 寅彦
買取価格 406円
昨年末から出版された平凡社スタンダードブックスシリーズ。
「科学の心を本棚に」のキャッチコピーと共に、岡潔、野尻抱影、寺田寅彦の科学随筆3冊同時出版。
作りも見た目も美しい本です、新書より少し横幅広めですが持ちやすく背表紙もシンプルなので集めたくなるシリーズになりそうです。
何度も読んでいるはずの寺田寅彦ですが、本のかたちが変わるとまた別の新鮮な気持ちになり読み返しました。
先生はお二人の奥さまと死別されているのですが、残された小さいお子様の面倒を見ながら書いた文章が切なく胸に響きます。
「団栗」
子どもたちの為に買った蓄音器の話から大学の講義まで先生の想像力は果てしなく拡がり、近い将来、講義を映画と蓄音器で出来るようになるのではないかと危惧しておられます。(その頃の映画はまだ音声は無く弁士がいたのかも)
当時はレコードといっても蝋管という文字どおり蜜蝋などのワックスを塗った筒状の物に溝が刻んであるという物だったらしいです。露店で野菜やお菓子を売るように蓄音器での音楽なども販売されていたという話も…それもゴム管(イヤフォンみたいなモノ?)で音を聴かせるというような御商売もあったとか。意味合いとしては現在もあまり変わりないような気がします。「蓄音器」
物売りの声に関してもその当時の朝顔売りや豆腐やさんの声なども先生はいろいろと書きとめられています。
落語に物売りの真似をする部分がありますが、夜中の辻占売りとか実際の音で聴いてみたいような気もします。「物売りの声」
シリーズ今月発売は中谷宇吉郎、これまた楽しみな漱石繋がりです。