芸術と科学のあいだ/福岡伸一
芸術と科学のあいだ
福岡伸一
買取価格 486円
フェルメールから近代建築、蝶の話まで、一つの項目が4ページで解説されています。
マンハッタンヘンジ,親魏倭王の金印、聖女プラクセデス、右手と左手、バベルの塔、ヴィレンドルフのヴィーナス、パワーズ・オブ・テン、ミミクリーズ、カバのウィリアムズ、メランコリアⅠの10個のテーマ。
スタイリッシュな椅子で有名なイームズ夫妻が作成したショートフィルム「パワーズ・オブ・テン」(youtubeで見れます)1960年代末に作られた実験的映像に関する記述があり、8分程度の画像ですが、これが今見てもなかなか面白い。
銀河系から細胞レベルまでを10の何乗かで表していくのですが、無限の入れ子構造を的確に表現している映像でした。
こういう発想からあのデザインの椅子が誕生していくのだと納得。
著者はフェルメールの大ファンでもあり、この中でも何点か作品に触れています。
中でも有名な「牛乳を注ぐ女」の項では地球上の原子の総量はほぼ一定であるという事から、北斎のきりふりの滝、フランク・ロイド・ライトの落水荘の話まで玉手箱のような内容です。
他にも「地理学者」「聖女プラクセデス」「絵画芸術」「ヴァージナルの前に座る若い女」等、熱愛っぷりが伺えます。
らせんに関するところでは電話のコードからDNA、蝶の口吻、バベルの塔、聖ブリギットの十字架までらせん美しさと持続する志を解説しています。
みたカンジは小さい手のひらサイズの本ですが、どこから読んでも面白い、タイトルどおり、博物館と美術館を廻っているような気持ちになれる一冊です。
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