ロンドン日本人村を作った男を買取りました
ロンドン日本人村を作った男 〔謎の興行師タナカー・ブヒクロサン 1839-94〕
小山 騰
買取価格 798円
1885年(明治18年)から18か月間、ロンドン、ナイツビレッジに日本人村という名の興行が行われていました。
イベントを仕掛けたのはイギリス人タナカー・ブヒクロサンという人物。
日本の生活、文化、手工芸の輸出の始まりとも云えるこの興行はイギリスだけではなく、ヨーロッパでも催され盛況であったという事です。
本書扉部分に当時の複数のポスターがありますが、なかなかこれが好い感じなのでフォント好きとしてはたまらないモノがあります。
イラストの方は、一部着物の袷が逆になっている物もあったりしますがこれもご愛敬。
明治も18年になっているので、さすがにちょん髷は珍しかったのではないかと思われますが、おおむねこんなカンジという仕上げになっています。
その頃日本では鉄道が敷かれ、駅弁の販売(おにぎり2個とたくわんというシンプルなもの)が始まりました。
髪型も変わり、交通手段も変わりつつあった時代、古いモノを捨ててハイカラを目指していた日本と、捨てられそうになっている日本の名残りをジャポ二スムにという形で輸出したタナカー・ブヒクロサン。
謎の多いタナカー氏の本名はフレデリック・ブレックマン、オランダ・アムステルダム出身。
20歳の時来日し、英国公使館に通訳として勤めます。その後フランス公使館に通訳として勤務、横浜鎖港談判使節団として渡仏。
その際幕府から預かった金を返さずに逃亡、ここからタナカー・ブヒクロサンが誕生する訳です。
当時、同じような興行を企画していた外国人は複数いたようですが、ここまで成功した人物はいなかったようです。
日本人の妻を持ち、家族を作り、一家総出での興行を行っていく様子はぜひ本書で確認してみてください。