大変を生きるを買取りました
大変を生きる――日本の災害と文学
小山 鉄郎
買取価格 707円く
東北の震災から早いもので、5年が経ち記憶が薄れてしまいそうになりますが、メディアの報道等でハッと思わされる事もしばし…教訓として忘れてはいけない事は沢山あったはず。
日本の過去の災害・天災(宝永大地震・富士山爆発・安政東南海地震・関東大震災など)を文学作品から読み説くという初めての試みがこの本で行われています。
明治29年と昭和8年、三陸地震大津波の体験者らを取材した吉村昭の記録文学「三陸海岸大津波」は東日本大震災以降ベストセラーにもなりました。中でも目を惹くのが小学生の書いた作文でありました。
「子供の無心な眼に映った津波だが、それだけに生々しいものがある」という感想があるほど、読んでいて切なくなるものがあります。
宮澤賢治の「雨ニモマケズ」村上春樹の「かえるくん、東京を救う」谷崎潤一郎「細雪」田山花袋「東京震災記」鴨長明「方丈記」堀田善衛「方丈記私記」新田次郎「怒る富士」など、多数の文学作品を通して天災・災害を語っています。
中でも寺田寅彦の「文明の進歩のために生じた対自然関係の著しい変化がある。それは人間の団体、なかんずくいわゆる国家あるいは国民と称するものの有機結合が進化し、その内部機構の分化があ著しく進展して来たために、その有機系のある一部の損害が系全体に対して甚だしく有害な影響を及ぼす可能性が多くなり、時には一小部分の損害が全系統に致命的となり得る恐れがあるようになったということである」(「天災と国防」より)
東日本大震災における東京電力の事故そのものの言葉のように聞こえます。
天災も災害も記憶を風化させないように今また読むべき本であると思いました。