屋根裏の仏さまを買取りました
屋根裏の仏さま (新潮クレスト・ブックス)
ジュリー オオツカ Julie Otsuka
買取価格 734円
不思議な文章に引き込まれて一気に読んでしまいました。
「わたしたち」という主語で語られていく短い文章は何処の誰?であったかはまるで特定できませんが、確かに存在していた人達。短い小さい文章は点描となって大きな絵になっていきます。
「わたしたち」は何も知らずに海を渡った花嫁であったり、その家族であったり…
【写真花嫁】という言葉をこの本を読むまで私は知りませんでした。今から100年前、男性達(一世と呼ばれる人たち)がアメリカに職と夢を求めて渡りました。結婚適齢期になっても帰国する事はできず、写真のやりとりで日本からお嫁さんを呼んだ訳ですが、男性の側の写真はどれもみな若くてハンサム…T型フォードの前で写っていたり…
それもそのはず、10年から20年も前の写真を送ってきたわけで、港についたお嫁さん達はあまりの落差に驚いたり、帰国したくなったり…花嫁とは名ばかりの労働と苦労をした人の方が断然多く、それでも結婚生活を送っていくうちに家族も増え、少しづつ暮らし向きが良くなってきたと思われる頃、戦争が始まってしまいます。
タイトルの「屋根裏の仏さま」は中盤くらいに登場しますが、本当に短い文章の中での一瞬です。
開戦後、日本人というだけでいわれのない差別を受け、それでもそこで生まれ育った子供たちは日本語を話さず、なんと苦労の多かった一世の世代の悲しみと苦しみ、戦争は勝とうが負けようが、どちらに対しても何ももたらさないという事を忘れてはいけないと痛切に感じました。
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