蛇の道行を買取りました
2016年06月04日 category : <高価>古本買取情報 タグ: あじあ号
蛇の道行
加藤 元
買取価格 518円
「じゃのみちゆき」とはいささか剣呑なタイトルと思いながらも初読みの作家さんだったので読み始めたら…
終わるまで一気読み!!(今年はそういう本の当たり年)読後すっかり持って行かれた感…
最後の最後まで気が抜けないまま、大どんでん返し!
舞台は戦後直前の大陸から焼け跡の東京、孤児と若く地味な未亡人の謎めいた関係、というと何か艶めいたものを想像しそうですが、もっと命懸けの(見えにくいけど)熱量のある凄まじい関係…あまり詳しく書いてしまうと面白みが半減してしまうのでやめますが、とにかく旬な書き手の一人であると思います。
名前から男性だと思い込んでいましたが、美しい女性作家でした。文体からしてもすっかり男性だと疑う事なく、他の作品を探していたら、写真が挙がっていて驚いた次第です。だって【げん】っていうから、てっきり男性かと…
以前、高村薫と北村薫の区別が付きにくかった事などを思い出してしまいました。(ちなみに高村氏は女性、北村氏は男性です)
『道行』の意味を探ってみると、男女が旅に出る事、駆け落ちや心中などの場合が多いとの記述。
確かに歌舞伎や浄瑠璃の演目にありそうです、行き着く先が無い感じ、周りから祝福されてない感がビンビン伝わってきますもんね。帰ってくる場所があればこその旅ですが『道行』だと文字からして片道切符。う〜ん、セツない。
そんな言葉があるかはわかりませんが、まさにこの本は『タイトル力』100%!
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