「昭和にサヨウナラ」を買い取りました
昭和にサヨウナラ
坪内 祐三
買取価格 640円
雑誌「本の雑誌」の連載でおなじみの坪内祐三氏のエッセイ集。
出だしの「マイ・バック・ページのこと」で映画「マイ・バック・ページ」を散々に書いているので若干、ひるみながら読み進めることしばし。川本三郎の原作も読んでいないし、映画の方も確か途中で見るのをやめてしまった覚えがあるので、(なんかつまらなくなったような…しかも結構後半まで見ていながら)なんとも言えないのですが、理路整然と映画の批評をしている事だけははっきりとわかるのでした。
この調子だと読み切れないかなという気持ちもよぎったのですが、中村勘三郎さんのことや赤瀬川原平さんのこととか細やかな人間関係が描かれていて挫折せずに読み続けています。普通の小説ならば先を知りたくてどんどん読み進めていくのですが(時速60〜80ページとか)これはじっくり味わいつつページをめくりました。
他にも有楽町界隈のこと、東急プラザ渋谷のこと、車谷長吉さんのことなど昭和に輝いたものや人たちに関わる話が多数あります。
本の良さはどこにでも持っていけて、どこでも読めるというところ(バッテリーの残量とかもありませんし、Wi-Fiを気にする事も不要)キッチンでも、ソファーでも風呂の中にさえ本を持ち込む私ですが、この本ばかりはなぜか机(作業用ですが)で完読しました。書き手の年齢によって文も変わってくるのが普通だと思っていましたが、筆の切れ味みたいなものは精神の円熟とは別であまり関係がないのかもしれませんね。
挫折した映画をもう一度観る前に原作を読んでみようかと、梅雨の宿題です。
←「山のあなたの空遠く…」前の記事へ 次の記事へ「「リフォームの爆発」を買い取りました」→