「神奈備」を買い取りました。
神奈備
馳 星周
買取価格 691円
「かんなび」または「かむなび」とも読みます。
意味は神の住まう山や、御神体となる神木や磐座、滝などのある地域を指す場合もあります。いずれにせよ神聖な場所というようなニュアンス。
霊山として名高いのは富士山・白山・立山ですが、古くから御嶽も神の宿る山として御嶽信仰が盛んでした。お伊勢参りに御師と呼ばれる案内人たちがいたのと同様に、山では強力と呼ばれる先達がいます。山の細部まで知り、雲を読み天候を予測し、参拝者を安全に山頂まで連れて行くというのが仕事です。強力たちはそれぞれ自分で作った道具を持っています。背負子と呼ばれる荷物やいざとなれば人も乗せて担ぐ木でできたもの。忍棒と呼ばれる杖のようなもの、これは杖にもなりますが、背負子の下にあてがって負担を軽くし、座る事なく休憩を取るためのものだそうです。(一度座ってしまうとまた重い荷物を背負い直して歩き出すまで時間と負担がかかる為)
登山の描写がかなり細かいのでまるで自分が登っているかのような錯覚に陥りました。
実際の冬山登山をした人でないとこういう文章は書けないとも…
数々の気象現象も実際の山で目にしたら、何かの超常現象か神の啓示かと思ってしまうのもうなずけます。
小説の舞台は岐阜側の木曽御岳、神の存在を信じない強力(ごうりき)の孝、母親に疎まれ、なぜ自分が生まれてきたを神に問いかけたいまだ十代の潤。
山岳小説の形ではありますが、神とは?生きるとは?大きな問いかけのつまった一冊です。
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