「家康、江戸を建てる」本を買取りました。
家康、江戸を建てる
門井慶喜
買取価格 535円
時代小説の形をとってはいるもののコレは読む「プロジェクトX」!
治水工事・貨幣鋳造・飲料水確保・城の石垣・天守閣建築の5つの話に分かれています。
天下を取った秀吉が家康に持ちかけた褒美は関東8カ国、相模・武蔵・上野・下野・上総・下総・安房・常陸の広大な土地。その代わりに駿河・遠江・三河・甲斐・信濃を差し出せとの理不尽極まる国替えの提案。
その頃の江戸といえばほとんど水浸しの低湿地、今の東京とはまるで想像もつかない様子の干潟であったようです。
大きな土木事業を起こせばそこに職人が集まり、その職人たちの為に材料を用意する人が集まり、飲食業や遊興の場所が栄えるという構図はわかるのですが、人も碌に住んでいないような一面灰色の土地を見て大坂のような都市を創るという家康の長大な計画と根気には驚きました。
まず手をつけたのが雨が降るたびに溢れてしまう川の流れを変えてしまう事、海に近いため井戸を掘っても塩水しか出てこない土地に水道を引く事。同時に江戸城のリフォームを行って人口を増やす事等…
家康自身が行ったというよりはそれぞれにプロフェッショナルな人材に恵まれたというのも大きいのですが、今まであまりいい印象のなかった三男の秀忠がいい仕事をしています。(たまたま後継になってしまった感が否めなかったもので、今回認識が変わりました)
著者自身もコメントを寄せていますが、水道を引くところでは十字路の「マス」のシステムが詳細に語られていて「ブラタモリ」ファンには心躍る内容。天守閣を従来の黒から白に変えた話なんかは漆喰の材料から工程までを分かりやすく解説、「プロジェクトX」好きにはたまらない話!
現在の東京の成り立ちを知るには必読の一冊!