「美しい距離」本を買取りました。
美しい距離
山崎 ナオコーラ
買取価格 583円
芥川賞候補作品の本作で山崎ナオコーラ氏を初めて読んでみました。
文芸小説にありがちな文章難解、筋もよく分からないという事は一切なく、著者紹介のところに書いてあったコメントが「誰にでもわかる言葉で、誰にも書けない文章を書きたい」とありました。
その通りの読みやすさ、病に侵された配偶者との残り少ない時間を過ごしていく中で、距離感が近づいたり、離れたりという日常を綴った物。
帯には…近いことが素晴らしく、遠いことは悲しいなんて思い込みかもしれない。遠く離れているからこそ、関係が輝くことだってきっとある。という本文からの抜粋の文字。
ぐいぐい引き込まれるというより淡々とした主人公の語り口に読後感があまりにもスッキリしていたので、他の本を読んでから、再読しました。もっと著者の他の作品を読んでみなくてはと思った次第。
ある程度の年齢になって「死」という事が身近に思えるようになってきました。高校生くらいであればまるで考えもしなかった事ではあるのでしたが、友人の親御さんであったり、仕事関係であったり通夜や葬儀に行く事も少なくはなくなり、儀式的な事の経験が増えるたびに少しづつ誰にも起こる事と思わざるをえないというか…
生まれる時も選べないけれど、終わりも自分では選べない、どちらも一人ではできない事を毎回実感。
昨日今日はお盆のお墓参りをした方も多いかと思います。田舎でやっていた野菜でできた牛や馬を思い出しながら、年に一度くらいは帰って来て欲しいという想いは変わらず、この時期は距離が近づくという事も再読するきっかけになりました。