「遊戯神通 伊藤若冲」本を買い取りました。
遊戯神通 伊藤若冲
河治 和香
買取価格 377円
ここ数年日本画家に関する文芸書が多く出版されていて、あまり日本画に縁が無かった人にも(私含む)興味深いジャンルとなりました。長谷川等伯、井原西鶴関連の本などにスポットが当たったのはここ最近の話。
さて生誕300年記念イベントが激混み(5時間待ちとか)で話題になった伊藤若冲。
自分の絵が認められるのは200年後と予想していた若冲本人もこれほどのブームになるとは思っていなかった事でしょう。最初の若冲ブームは1904年のセントルイス万博、アメリカから始まります。しかも絵画ではなく綴れ織の壁飾り「動物綵絵」日本郵船が川島織物で作成したものなどで若冲づくしにした「若冲の間」がきっかけとなりました。
本書カバー絵は「砂糖鳥(サトウチョウ)」その名の通り甘い果物などを好むインコ科の鳥。
動物図鑑の写真と比べてみても色味といい、柔らかそうな質感といいそっくりで、ちょこりんと木の枝に留まっている姿はユニークでもあります。
京都錦市場の青物問屋の後継であった若冲は恵まれた環境から、まだ日本では珍しかった孔雀やインコ等を放し飼いにし、腹ばいになって観察していたと云われています。あの躍動感のあるシャモの脚やツヤのある一枚一枚の羽根はただ書き写したものではない事を表しています。
「人の楽しむところ一つも求むる所なく」と評されるように、ただ絵を描く事のみで生きていた若冲、そしてそれを支えた弟と妹。本書では妹と称された女性にスポットを当て、近代日本画家の神坂雪佳を目を通して江戸と明治の二つの物語を描いています。
来年は酉年、若冲の軍鶏をPCの壁紙に設定して楽しもうかと思います。