「人の樹」本を買い取りました。
人の樹
村田喜代子
買取価格 576円
森の中、道路沿い、我々が見かける木に意識があって会話できるとしたら…
様々な場所の色々な木達の私小説(?)のような連作集。
木と結婚する人間の話。森から森へ移動する木の集団。前世が木であった人間の話など…
何とも不思議な一冊でした。
中でもバオバブの樹の話(「大きな赤いトックリ」)とお通夜に行く樹の話(「とむらいの木」)の二作は特に印象に残りました。
蒸し暑さで苦しむ悪魔がバオバブの木陰で休んでいた。しかし、1年のうち約3分の2以 上もの期間、その大木に葉が茂らないことに怒り、木を引っこ抜きさかさまに植えた。これがアップサイドダウンツリー(逆さまの木)の由来。地球上で最も大きな木である事と樹齢千年を超えるものとも言われるバオバブの木。
画像で見ても確かに異様ないでたち。夕焼けのアフリカの大地にすっくと立つ様子は象と並んでいるせいか何だかスゴイ迫力です。
そんなバオバブと小猿のアイアイとの会話と物語。
昔世話になった猿田の爺さんのお通夜に行くのは太郎スギと大鷲のタラヨウ、火炎のビャクシン、大王クスの四人(本?)人間というものは短命なもんだ、などと言い合いながら89歳で往生した人のお悔やみに行くのです。
ナミブ砂漠に自生するというウェルウィッチア、日本名奇想天外。砂漠で千年も生きるという世界で最も醜いと言われる植物など、未知のものも数々登場。植物図鑑を開くきっかけにもなりました。
ちょっと宮沢賢治の本も思い出しながら、うっとりと完読しました。
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