「絞首人」本を買い取りました。
絞首人
シャーリイ・ジャクスン 佐々田雅子
買取価格 544円
ロープを締めて、吊るす人、
ほんの少しの間でいいの、
ほんとの愛がくるはずだから、
はるばるやってくるはずだから。
本書より
扉の見逃しそうなところに上記の言葉が書いてありました。
主人公のナタリーは17歳。文芸評論家である父と、なんだか影のある母、高校生の弟の4人暮らし。
毎週日曜ごとに行われる父親の友人を招くパーティ、義務感だけで形だけもてなしている母親の泣き言を聞かされているナタリー。結婚や人生すら否定しがちな不安定な母親、娘の文章を添削指導する父親。
不穏な出だしの作品でした。
読み進めていくうちにますます影は濃くなっていきます。
秋になり家から遠く離れた大学に行くために寮に入りますが、その寮にもしっくり馴染めないナタリー。
偶然知り合った年の近い教授夫人はどうもアルコール依存症のよう、若く魅力的な教授は新婚であるにもかかわらず、他の女子大生に粉をかけてる模様。
先輩の寮生もなんだか…主人公もそうですが、登場人物が全員重苦しく謎っぽい。
追い討ちをかけるように最後の方に登場するトニー。
あてもなく二人は最終バスに乗り、人気のない季節外れの観光地にたどり着きます。
森の中に入って行くシーンはかなり怖かったです。
思春期の女の子のやり切れない葛藤が溢れる作品です。
絞首人は一体誰なのか?
ゆるゆるじわじわと締められているのは読者?なのか、意地悪な作者に翻弄されてください。
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