「きょうもまた好奇心散歩」本を買い取りました。
きょうもまた好奇心散歩
池内 紀
買取価格 434円
ドイツ文学者で散歩の達人、池内紀氏の新刊です。
お正月本にしたかったのですが、読んでしまいました
醤油で有名な千葉県野田市を除いて、全て東京散歩。珠玉のエッセイ、24編。
観光客がディープトーキョー探しをしている今日、先生の足は観光とは縁のないところを目指します。
美味しいおせんべい、お寺に神社。とにかく歩く歩く。
歩いていても目線はしっかり、面白い看板や、不思議な空気感のあるアーケードをとらえます。
ケーセータテイシ(京成立石)が面白いらしいとの噂を耳にすれば、すぐに行ってみる先生です。
仄暗いアーケードに昼間から開いている赤提灯。そこで観た風景は「つげ義春」的風景と書いています。
空の玄関口として賑わっている羽田ですが、先生が散歩するのは海の羽田。
「羽田空港天空橋船着場待合室」なる長い駅名。人専用の橋を渡れば船着場。
羽田で潮干狩りができるとは…知りませんでした。
最近、散歩の効用を耳にしますが、確かにこれだけ歩いて見るもの全てを楽しめばココロもリセット。
新しい思索の羽も伸びそうです。
東京だからではなく、散歩するという行為はどこにいてもできるもの…何も無いと言っても歩く道があればそこには何かきっとあるはず…と思いたい。
旧中島飛行機三鷹研究所の建物が残る大学構内の散歩も中野区立哲学堂公園の散策もなんだかとても静かに楽しそうな文章なのです。
かつて中島らも氏が『教養とは自分一人で時間を潰す能力のことである』という名言を残しました。
嗚呼、何か自分で抱えこんでしまっているモノを手放して、軽やかに歩いてみたいと思う師走の一日なのでした。