「刀に生きる 刀工・宮入小左衛門行平宮入小左衛門行平と現代の刀職達」本を買い取りました。
刀に生きる 刀工・宮入小左衛門行平と現代の刀職たち
塩野 米松
買取価格 583円
アニメ「もののけ姫」で鉄を作るタタラ場が登場します。
フイゴで火に風を送り、鉄を作る様子が克明に描かれます。
鉄ができる様子は知らなくても、日本刀を知らない人はまずいないはず…
刀を挿す武士はいなくなりましたが、今でも国の認可を受けた刀工が200人ほどいるという話から本書は始まります。
日本刀と一口に云っても、パーツが複数に分かれていて、刀の部分、鞘、柄、そして刀を研ぐ人。鞘に漆を施す人。
刀が鞘から抜け落ちないようにする「はばき」等の細かい細工を作る人と…
一振りの日本刀が完成するまで、工程は幾つにも分かれています。
元々は武器である刀ですが、江戸時代の後期には武士も刀を使うような場面も少なかったようで、そうなると刀は実用というより、武士の身分を示すものとして使われるようになっていたようです。
平和な時代の刀は道具としての美しさよりも、細工や意匠を凝らす方向にと変化していきます。
中には、城と同等の値打ちがあるものまであったと言います。
今まで、時代劇を見ていても何も思わなかったのですが、これを読んで、何故刀から鞘が落ちたりしないかがよくわかりました。
他にも梅花皮(かいらぎ)の埋め模様の鞘の原価が600万円という話に驚いたり、(カラー写真が本書についています)どの工程も職人の技術の詰まったものであることを痛感!終わりまで一気読みでした。
日本の伝統工芸の集積とも言えるのが日本刀なのです。
日本だけではなく、海外でも話題になった「エヴァンゲリオンと日本刀」展。
その時展示された薙刀「刀野薙」を作ったのが、刀工宮入小左衛門行平氏。
聞き書きの名手、塩野米松氏が現代の刀職達の話を生き生きと書き取っています。