「年月日」本を買い取りました。
年月日
閻連科 谷川 毅
買取価格 648円
閻連科、第二回魯迅文学賞受賞、第八回『小説月報』百花賞受賞、第四回上海優秀小説賞受賞作品です。
先日「炸裂志」を読んだばかりなので、これは衝撃でした。
千年に一度とも云われる大干魃の年、雨乞いのために一匹の野犬が捧げられます。
かろうじて命は助かりますが野犬の目は見えなくなってしまいます。
しかし、雨は一滴も落ちてくる事はなく、村の人々は他の土地へと逃げ出します。
ただ一つ芽を出したトウモロコシの苗を守るために村に残る「先じい」と盲目の犬「メナシ」。
ネズミの大群からトウモロコシを守り、オオカミの群れと闘う一人と一匹。
…メナシ、本当に助かったよ。わしの来世がもし獣なら、わしはおまえに生まれ変わる。おまえの来世がもし人間なら、わしの子どもに生まれ変わるんだ。一生平安に暮らそうじゃないか。 本書より
「先じい」はすでに70を超えていて、水を汲みに行くのにも大変なのですが、少ない食料(畑に撒かれていたトウモロコシの粒やネズミの巣から奪った物)と水を「メナシ」と分け合います。
どんどん深まって行く関係と、容赦の無い天候…一気読み間違い無し!!
邦訳された作品は全て読みましたが、これは違いました。
「人民に奉仕する」「愉楽」などの作品は読んでいてもゾクゾクするようなもので、これは本国で発禁になる訳だと納得できることしばし…しかし、本作は冒険モノでもあり、大人向けの辛口童話でもあり、あまりに両極端の作家の腕前にも驚かされるのですが、1ファンとしては嬉しい裏切りなのでした。
←「石ころではなく鉱物、散歩の楽しみは川原にあるかも」前の記事へ 次の記事へ「「夜行」本を買い取りました。」→