「その島のひとたちは、ひとの話をきかない 精神科医、「自殺希少地域」を行く」本を買い取りました。
その島のひとたちは、ひとの話をきかない――精神科医、「自殺希少地域」を行く――
森川すいめい
買取価格 453円
落語会の前に時間があったので、少し読むつもりで開いたら半分位まで読んでしまいました。
落語会終了後、帰宅し、すぐに残り半分を読みました。
著者は精神科医でもあり、鍼灸師でもあるのですが、岡檀さん(現在、和歌山県立医科大学保健看護学部講師)の「自殺希少地域」の研究に触発され、各地を旅します。
「うつ病」は自殺の原因である事のように云われる事が多いですが、実際は自殺で亡くならない人の方がずっと多いそうです。
著者は「うつ病」になっても精神科に通わずに自分で回復する人もおそらく多いはずと言っています。
診察され、薬を服薬する事だけではなく、周りの様々な支援対策で初めて自殺が減るのではないかと、フィンランドの例をとって説明をしています。
①即時に助ける
②ソーシャルネットワークの見方
③柔軟かつ機動的に
④責任の所在の明確化
⑤心理的なつながりの連続性
⑥不確かさの耐える(寛容)
⑦対話主義
最後の部分ではこの7つのポイントに分けて説明がされています。
本書のほとんどは、この7つのポイントにたどり着くまでのフィールドワークの記録です。
都会では隣近所であっても挨拶さえ無いと言います。
田舎では普通の事。地方では人間関係が煩わしいという声もありますが、動く事の無い地域に住んでいればこその人との距離感というのもあるのだという事も自殺希少地域には共通するようです。
ここ20年で若年層の自殺率世界一という不名誉な結果を出している現実を直視しなければいけないのは、自分を含む大人なのでは無いだろうかと考えた一冊でした。