「存在感のある人」本を買い取りました。
存在感のある人:アーサー・ミラー短篇小説集
アーサー・ミラー 上岡伸雄
買取価格 392円
劇作家アーサー・ミラーの短編集。
一気読み後の感想、どの作品も果汁が滴り落ちるような、喉が潤うような感覚になりました。
著者の戯曲を見た事もなく、マリリン・モンローと結婚していた人とかくらいの知識しかなく、手にとって見たのですが、なんだろう?すごく新鮮な文章だったのですが、著者85歳を超えたくらいの時に書いた作品であったようです。
6作品とも色の違う作品、中でも「パフォーマンス」はユダヤ系のタップダンサー、ハロルド・メイの戦争中の思い出を聞く物語。
偶然パフォーマンスをナチスの高官に気に入られ、ヒットラーの前でダンスをする事になり、さらにベルリンにタップダンスの学校を作るように要請されることにまで…
人格保証テスト(純粋なアーリア人である事を調べる検査)を受けるシーンなど、読んでいてもドキドキ。
「テレビン油蒸留所」はハイチで貧しい人々を救うために森にある松を利用し、産業にしようとしている友人に会いに行く話と自身の環境も変わってしまった30年後に再訪する話。
再訪のシーンでは本当に30年前の事は事実だったのかと思うほどハイチの情勢も自然も変わってしまっているのですが、人々の偶然のような親切が伏線のように繰り返されます。
何回も読み返せる作品集でした。
多くの戯曲作品は邦訳されていますが、短編集やノンフィクションはあまりないようです。
「セールスマンの死」を読んでから「北京のセールスマン」を読んでみようと思っております。
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