「敵の名は宮本武蔵」本を買い取りました。
敵の名は、宮本武蔵
木下 昌輝
買取価格 463円
第157回直木賞候補作の本作。
宮本武蔵と戦った相手側から語り継がれる7つの物語。
引き込まれて味わう間も無く一気読みしてしまいました。
今から2周目をゆっくりしようかと思っています。
「有馬喜兵衛の童討ち」「クサリ鎌のシシド」「吉岡憲法の色」「皆伝の太刀」「巌流の剣」「無二の十字架」「武蔵の絵」の短編からなる本作。
最初に登場する武蔵は弁助と呼ばれる、まだ12、3の童の姿。
そのいでたちは前髪もとれていなく、左脚の脛には赤い布が巻き付けられていた。
およそ普通の長さでも太さでも無い樫の木刀を下げて、その少年は高札の下に立っていました。
高札には「武芸者の首ひとつをもって、元服の儀となす」
この少年に最初にまみえるのが有馬喜兵衛。
九州の桶狭間とも呼ばれる島原沖田畷の戦いで、蔵に隠れた童を誤って撃ち殺した悪評から「童殺し」という不名誉な渾名が付いてまわるようになった有馬喜兵衛。(この段階で結構切ない話だと思いながら読み出しました)
武蔵に挑む7人のそれぞれのバックボーンが複雑で悲しくて、また挑まれる武蔵の過去と親子関係も複雑で…
7つの話はそれぞれに複雑、最後に話は繋がりますがまさかのエンディング。書き手の掌で読者は翻弄される事必至。
今までに描かれた「宮本武蔵」像とは違った本作、他の書評で「インタビュアーが全て違うノンフィクションのようなもの」と言われていましたが、全くもってその通り、歴史小説が苦手な人にもオススメしたい本作です。
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