「静寂 ある殺人者の記録」本を買い取りました。
静寂 (ある殺人者の記録)
トーマス・ラープ 酒寄 進一
買取価格 667円
蝶の羽ばたきさえ聞こえる耳を持つ穢れなき大量殺人者の生涯。
「死はどこから来るんだろう?」彼は「死」と「愛」について考えつづけ、人々を慈しむため殺人に及んだ。
ヨーロッパ読書界を震撼せしめた傑作! 本書帯より
夏休み本でとっておいたやつ…またしても読んでしまいました…自身の抑制の無さに慄きつつ一気読みの本作。
サブタイトル、ある殺人者の記録とあるのでさぞやと思いながら読み始めるも、予想を大きく裏切る美しい物語。
主人公のカールの死から始まる話、母親の死をきっかけに純粋すぎるが故のカールの「死」を送る行為が始まり、最後の最後に全てが完璧におさまります。
カールの持っている「愛」とその贈り方。ただ一人理解者で父親に虐待されている少女マリー。
通常残虐なシーンが出て来ると結構な飛ばし読みをしてしまうのですが(割と苦手です…文章なのにと笑われそうですが)本書に限ってはそんな事も無く完読。
純粋というか美しいというか、残虐な行為にはどんな正当な理由もつくわけはないのですが、静かな映画を観ているような気持ちのままで読み切ってしまったのは作者の力量?すごいマジックにかかってしまったような…
タイトル通り「静寂」に包まれた美しい物語でした。
著者の邦訳はまだこの一冊だけです。
本国ドイツでは美術修復家メツガーが主人公のシリーズが7作目まで出ていて、TV化もされている(ドイツのTVです)との事。
映像も観てみたいですが、まずは、是非全作品邦訳大大希望!
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