「うたかたの日々」本を買い取りました。
うたかたの日々
諏訪 哲史
買取価格 486円
2007年に「アサッテの人」で芥川賞受賞の筆者です。
初めて触れる本が文学では無く、ゆるりとしたエッセイかと思いきや、なかなかのすごい事を書いています。
名古屋弁のお爺さんとお婆さんの会話形式の笑える話から、18歳の頃の無宿旅行の話に、今の日本にジワリと起きている事、誰もが目をつぶっているような事にも一石も二石も投じるような話題までも…
著者の抱えている体調に関する不安もあったり、家族に対する力一杯の愛であったりを文章に感じました。
…その日その日に感じること・思うことは都度変転しますが、毎日の稿を起筆するまさにその時に、我が身を最も充血させるもの、それは世界の不合理さへの地団駄や、とぼけた文体遊戯の衝動、遠い過去のひりつくような記憶など、僕にとって切実なもの、「リアル」なものを選びました。命がけで書いた、僕の大切な本です。…本書はじめにより
これほどズシンとくる前書きは無かった…読後に読んだらなおさらじんわりきました。
何故かは…読めばきっと「命がけ」の意味がわかります。
「朝日新聞 名古屋本社版」好評連載の「スワ氏文集」と「毎日夫人」「西日本新聞」掲載の人気コラムもまとめて楽しめる一冊!
名古屋は以前から何かディープなものがあるとは薄々感づいてはいたのですが、さすが在住の作家にかかると地元愛が半端ない感じは否めません…愛知では無く名古屋、何でもある名古屋、田舎では無いけれど決して都会では無い名古屋、行くたびに思うのは方言(地方言語)が堂々と残っているのはむしろ大きな町ばかりなんですよね。
食文化もおしゃれも独特の名古屋、大須とか何時間いても飽きないし…
そんな素敵な町名古屋でもっと書いて欲しい作家さんの一人です。
今更だけど「アサッテの人」を読んでみようかと思ってます。