「嵯峨野花譜」本を買い取りました。
嵯峨野花譜
葉室 麟
買取価格 500円
幼くして父母と別れ、大覚寺で修行に励む少年僧胤舜。
大覚寺の花職三代目になるのではと期待をされている胤舜。その出生には本人も知らない事情が多く、2年前に別れた母の記憶とおぼろげな大きな人という父親の影と。
花を活けるにはひとの心を見る修行をしなければいけないとの未生流二代目の広甫から命によって、様々な花を活ける事になります。
もともと活花は仏前に供える供花からきたもの。
立花が座敷飾りとして盛んになったのは室町時代からのこと。
「昔を忘れる花を活けて欲しい」「亡くなった弟のような花を」「闇の中で花を活けよ」などの難題に応えながら、自分が何故父母と別れなければいけなかったか、母の想い、父の考えを少しづつわかっていこうとする成長の物語。
今時期では、種になっていたり、少し小ぶりな状態で見られる「朝顔」
奈良時代には「朝顔」と呼ばれる花は複数あったそうです。
朝に咲いて、夕方にはしおれてしまう花は皆朝顔ではなかったかと…
桔梗や槿のような花も同様に夕方にはしおれてしまいますね。
今でいう「朝顔」は江戸時代にはすでに品種改良などによって、様々な色や、花の形状を作り出す「朝顔師」とも呼ばれる植木職人が登場したり、おそろしく高価な投機目的の「朝顔」も売り出されていたようです。
さて夕方にはしおれてしまうような朝顔を胤舜はどのように活けて見せるのか…
「利休の椿」「花筐」「西行桜」「祇王の舞」など10編からなる本書。
挿画の美しさと、京の様々なお寺の由来や花の名前などが贅沢に織り込まれた一冊です。
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