「柴田是真の植物図(改訂版)」本を買い取りました。
柴田是真の植物図(改訂版) (趣)
黒川廣子 薩摩雅登
買取価格 648円
柴田是真…幕末から明治にかけて蒔絵、漆絵、絵画で活躍し多くの名作を残した。
江戸では蒔絵師の元に入門し、また円山四条派の絵画も学び、蒔絵師としても絵師としても高い評価を得て、維新後は明治政府にも重用された。(本書扉より)
消失した皇居・明治宮殿千種之間天井画下絵他、様々な植物絵を集めた画集です。
文庫本よりもちょっと大きめの本書、どこを開いても美しい花の絵が…
本書を手に取るまで柴田是真の名前も知りませんでした。
調べていたら、もう終了していますが、東京学藝大学ではクラウドファンディングで≪千種之間天井綴織下図≫の修復プロジェクトを行なっていました。
天井絵の下絵は和紙をつなぎ合わせ、直径97㎝の円に描かれたもの。
円の中に植物を美しく、リズミカルに閉じ込めています。(下絵の配置図付き)
睡蓮や烏瓜…竜胆は刈萱との組み合わせで描かれています。
本書は草花や花木の画集ですが、ボストン美術館には「Moonlight」というタイトルの風景画が保存されています。
陰影のはっきりした、月明かりの絹本淡彩の作品は日本画というより、どちらかというとモダンな感じを受けました。海外で人気があるというのも納得できます。(大英博物館には鍾馗様から逃げる鬼の図がありますが、これもまた規格外の絵です)
蒔絵作品で公開されているものも少なく、なかなか鑑賞できる機会はないようです。
美術館に足を運ぶ事が難しくても、この小型の画集であれば手元でいつでも鑑賞可能です。
本書で早めの「芸術の秋」はいかがでしょうか。