「岩塩の女王」本を買い取りました。
岩塩の女王
諏訪 哲史
買取価格 568円
『うたかたの日々』を読んでから気になっていた諏訪さん。
「鮮烈なデビューから10年。いよいよ千変万化する記念碑的小説集。」と帯にあります。
「無声抄」「岩塩の女王」「修那羅」「ある平衡」「幻聴譜」「蝸牛邸」の六篇からなる本書。
一見繋がりがなさそうな六篇ですが、読後、どの一編が欠けても成立しなかったであろう思われる作品です。
個人的には「修那羅」(しょなら)*が好きです。
*長野県青木村と筑北村の間にある修那羅峠、高速道路麻績インターから車で20分ほどにある峠ですが、ここには不思議な石仏が700体から800体。その数にも驚きますが、見た目がちょっと特異な像というか異形の神様のようなものが多いらしいのです。陽の短くなった秋の夕方とかに訪れると異世界に行けてしまいそうです。
よくよく考えたら芥川賞の「アサッテの人」は未読、どんな風に変化したのかはまるでよくわかりませんが、久しぶりに幻想的な世界にどっぷりハマりました。
一目で幻想小説とわかってしまうのは、まずは表紙。
あの村上芳正氏です。知っている人は知っている…澁澤龍彦・沼正三・三島由紀夫などの装幀装画を手がけている画家です。
線画とも表現される独特の世界、あとがきにもありましたが、諏訪氏が30年以上敬愛しているとの事でこの一冊が生まれたようです。
既視感があったのは倉橋由美子「聖少女」に用いられていた女性の横顔。
(…往年の読者ならご存知のと記述があり、まさに往年の読者だったので知ってる!)
作品の間の装画も美しく、幻想的な内容を一層美しく仕上げています。
この秋オススメの一冊!