「うつぼのひとりごと」本を買い取りました。
うつぼのひとりごと
吉村 萬壱
買取価格 388円
本書は亜紀書房のウェブマガジン「あき地」に連載されていたエッセイをまとめたもの。
私の中ではエッセイというと、何か読書生活の中では「箸休め」的なポジション。
大抵寝っ転がったりとか、待ち合わせの時間潰しで読んだりとか、あまり重きをおいていなかったのですが、
あとがきを読んでハッとしました。
著者が芥川賞を受賞した際に古井由吉氏に言われた言葉が、「読者の中には、もっぱらエッセイに絞って読む人もいるから、決して手を抜かないようにしなさい」
格調高いエッセイを書く古井由吉氏ならではの言葉ではあります。
筆者が力を入れて書いたかもしれないエッセイですが、このあとがきもフローリングにゴロゴロ状態で読んでました…(一瞬申し訳ない気持ちがよぎりました)
本書タイトルの「うつぼ」海のギャングという別名もあるちょっと獰猛な魚。
口の構造が載っていたのでよくよく見たら、エイリアンのように喉の奥からなんかよく分からないものが飛び出すようです。
あの歯並びが獰猛なイメージを余計に助長するのでしょうが、伊勢海老とは共生関係、伊勢海老を狙ってくるタコはうつぼの大好物という、ちょっと三匹を水槽に入れて様子を観察してみたいものですね。
さてエッセイの方はというと、なかなかの引っ掛かりのある読み応えでした。
帯の「いびつで不完全で、愛おしい」の文字通り。
ダイビングや旅の中でもなぜか闇に惹かれるという、人間の奥底に流れる心情をどきりとする文で表現されています。
諏訪哲史氏といい、最近いいエッセイに当たる事が多いです(^_^)
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