「おじいさんに聞いた話」本を買い取りました。
おじいさんに聞いた話 (新潮クレスト・ブックス)
トーン テレヘン Toon Tellegen
買取価格 539円
昨年「ハリネズミの願い」がベストセラーになったトーン・テレヘン氏の掌編集です。
サンクトペテルブルク生まれのおじいさんはロシア革命の翌年、一家でオランダに逃げてきました。
孫であるぼくに語り続けるお話は全て悲しいか納得の出来ないようなエンディング。
おばあさんはおじいさんの話をやめさせようとしますが、おじいさんは話を続けます。
「罪」ではロシア語には〈罪〉を示す言葉が11もある、そのうち8つは誰でも知っており3つは古文書と祈祷にしか出てこない…
まずはこんな話っぷりです。亡くなったいとこの話、王様の悲しい話、ロシア革命前の話、亡命する話など短編が39。
確かに小さい子どもなら、夢にまでみてうなされそうな話ばかり…
生まれた国や場所を政治的な理由で去らなければならないというのは、想像もつかない事です。
ましてや言葉のわからない土地へ望みもしないのに行くのであればなおさら、おじいさんはぼくにどうしても伝えたかったのでしょうね。ぼくの見た事の無いロシア。絶望という名の熊が食い尽くすロシア。
寝る前に少しづつ読もうと思って布団に入ったのですが、結局完読してしまいました。
悲しい話の中にあるユーモアが大人にはまた違った意味で切なく響くのかもしれません。
著者の祖父がオランダで暮らし始めてから約10年後に書いた草稿が母の死後の1918年に見つかったのがきっかけになり、長い年月を経てこのような形で本となりました。
来春には長らく絶版であった「誰も死なない」完訳版が新潮社から出版予定との嬉しいあとがきがありました。