「銀河鉄道の父」本を買い取りました。
銀河鉄道の父
門井 慶喜
買取価格 432円
銀河に鉄道をかけ、森に迷い込んだ猟師を素敵で恐いレストランに招待した宮沢賢治。
数少ない作品は今なお幅広い年齢層に愛されています。
本書では宮沢賢治を父親からの目線で描いています。
質屋として成功し、長男として生まれた賢治。期待を込めて育てられます。
今まで数多く出された宮沢賢治の美化された部分は少なく、あくまでも父親視点から。
幼い頃に大病をした賢治を看病をしてる際、自分の父親(賢治にとっては祖父)に「お前は父でありすぎる」と諭されるのです。
幼い頃は神童のようであった賢治も大人になるにつれ、こじれていきます。
この、こじれっぷりがなんとも…賭け事や酒の道楽をするわけでもないのに金の無心が半端無い…
それもひとえに本人がなかなか職につかないからなのです(他の本ではこの辺の事にはあまり触れられていない気がします)
賢治自身もいろんな事に気づいて農業を実際始めてみたりして(その間に教師の職にもつきます)ようやく自立したかと思った頃に妹トシの命を奪った病魔に自分もかかってしまっていたのでした。
詩が地元の新聞に載ったといえば、販売所で山ほど新聞を求め親戚や近所の人に配って歩くところなど、親バカと呼ぶにはあまりに切な過ぎて…ろくに親孝行もしなかった賢治に対して腹が立ちもしたりして…
岩手のお国訛りの会話混じりの本書ですが、この言葉でないとこの親子の温かい空気感は出せなかったのだと思いました。
これを踏まえた上で好きな「銀河鉄道の夜」を再読してみます。
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