「カシス川」本を買い取りました。
2017年11月14日 category : <高価>古本買取情報 タグ: 鵺
カシス川
荻野 アンナ
買取価格 648円
周りでも両親の介護の話を聞くようになりました。
聞いているだけではとても大変だという部分しかわからず、いつ始まるかも予測もできず、いつ始まってもおかしくもなく…その時がきたら覚悟を決めなければいけないのだなという漠然とした気持ちがあるのみです。
著者の荻野アンナ氏は自身の鬱病闘病中に、パートナーの癌発症と父親の介護、大切な二人を失い、今度は母親の介護が始まります。その最中に自身の癌が見つかり…20年に及ぶ介護と自身の闘病記。と、こうなると暗い話ではないかと思ってしまいますが、著者は違うのでした。
一卵性親娘が三代続くと嘆く著者、数々の母親の暴言や無理解に(認知症にもよるものですが)ニュースで聞くような事件が起きたとしてもおかしくはない日常。
自身の仕事や抗がん剤治療など(鬱もある)体調もすぐれない中、それでも母親の為に走り回り、振り回される著者。(歩くのもやっとな体調の時にもご飯を作っては届け、タバコがないと言われればコンビニに買いに走るという)
メディアで見かけた時はダジャレの好きな綺麗な人という印象がありましたが、この人は大きな苦痛も長きに渡る介護もすべて受け止めて「起こったことはみんないい事」という結論に達しています。
なんだか恐ろしく広く深い川を泳ぎ切った人という気がします。
私個人にはまだ何も始まってはいないし、起こってもいないのですが、なんだかとても強いものをもらったような気持ちになりました。
タイトルの「カシス川」はランボーの詩集から。
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