「消えない月」本を買い取りました。
消えない月
畑野 智美
買取価格 471円
この本を読み始めて、何度読むのをやめようと思った事か…
完読後(結局一気読みしてしまいました)、後味悪い事極まりない…本年1番の後味悪い小説。
2位は「butter」です。
ストーカーされる方、ストーカーする方の両面から描かれている本書、著者の筆の力を否応なしに感じました。
マッサージ師として働いている主人公のさくら、過去に職場のお客さんにストーカーされた過去があります。
お客さんとして来た出版社に勤める松原(←こいつがストーカー)、しかも嘘をついています。
一流出版社に勤めていると言っていますが、それも嘘。とにかく嘘が多い。
恋愛の始まりは簡単な誤解や勘違いというのもあるかもしれませんが、ここまでボタンを掛け違うと、こんな恐ろしい事になってしまうのですね。
ネタバレになるといけないので、詳しくは書きませんが、松原は本当にさくらが好きだったのだろうか?
さくらの優柔不断にも見える態度にもかなりイライラしつつ…
途中、警察の対応も登場しますが…なんか頼りない(実際はもっと親身になってくださると思いたい)。
やっと熱いおまわりさんが登場!と思ったのもつかの間…
最後の松原の独白を読んでもなかなか、その心理は少しも理解できませんでした。
「本から顔を上げた時、あなたは「愛」を信じられなくなる。」本書帯より。
まんまとやられた感とどこにも持って行きようもない怒りのようなものが湧いて来ました。
まあそれだけすごい小説だったという事、お口直しに何を読もうか迷う晩秋の夜なのでした。
←「岡山県岡山市の古本屋さんとブックカフェ。」前の記事へ 次の記事へ「「中国が愛を知ったころ 張愛玲短編選」本を買い取りました。」→