「中国が愛を知ったころ 張愛玲短編選」本を買い取りました。
中国が愛を知ったころ――張愛玲短篇選
張愛玲 濱田 麻矢
買取価格 756円
1920年李鴻章の外曽孫として上海に生まれた張愛玲。作品は中華人民共和国ではしばらく禁書となっていましたが、60年代後半から香港・台湾で根強い人気を集め、改革開放後の80年代には中国大陸でも「再発見」され、多くの「張迷(張愛玲フリーク)」を生み出したとのこと。
香港の雑誌の人気投票では、魯迅、沈従文、老舎に続いての4位を獲得しています。
本書は「沈香屑 第一香炉」「中国が愛を知ったころ」「同級生」本邦未訳の3つの短編選。
報われない愛を抱えて自滅するヒロイン…なのですが、大陸にいるヒロインというのはやはりスケールが違う…
中国の小説を読むたびに思うのは、ドライというか、耐え忍ぶというようなウェット感がまるで無いのです。日本には存在しようのないあっさり感に惹きつけられながら完読、ただはっきりわかるのは読んでいて虜になってしまうという事。
「公平?人と人の関係に、公平なんて二文字はもともとありえないわ。」
「愛情には目的なんてないし、結果が必要とも限らない」
主人公たちが軽々と言い放つ言葉は張愛玲自身の生き方をそのままに表しているようです。
3つの作品は1940年代の香港、1920年代の中国、1960年代のアメリカと時代と舞台は様々ですが、どんな時も様々なしがらみで生き辛い女性を潔く描いていると思いつつ読みました。
邦訳は残念ながらまだ少ないのですが、いずれ全作品が読める日が来るのでは無いかと期待しております。
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