「走れオヤジ殿」本を買い取りました。
走れ、オヤジ殿 (韓国文学のオクリモノ)
キム エラン 古川 綾子
買取価格 554円
来月には平昌オリンピック開催予定の韓国、著者は仁川国際空港のある仁川出身。
晶文社の新しいシリーズ(韓国文学のオクリモノ)第3弾の本作。(第1作の「ギリシャ語の時間」は今から読む予定)
「三美スーパースターズ最後のファンクラブ」(シリーズ第2弾)があまりに面白かったので現在ハマりつつあります。
1980年生まれの著者は本書で韓国日報文学賞を最年少で受賞、2013年には「沈黙の未来」で韓国で最も権威のあるとされる李籍文学賞を最年少で受賞という今一番に注目されている若手です。
9つの短編からなる本書ですが、表題作「走れオヤジ殿」は臨月で母親を捨てた父親をひたすら想像する娘の話。
遊園地に捨てられた男の子とその後の偶然の再会の話、コンビニで個人的な事を聞かれるとそのお店に行けなくなってしまう話、電車内で学生時代の同級生だと話しかけられても相手がわからず、人違いではないかとも思いながらそれも言えず延々と話しを聞く話。などなど。
日常にありそうな、ちょっと切なくこじれた若者の内面のあれこれのお話。
なんだろう、このス〜っと入ってくる感覚は…政治や経済の大きな違いはあるのでしょうが、近くて遠いとまで云われる韓国ですが文学はとても身近。
「この本はこわばった表情で私があなたに送る、最初の微笑みです。」と帯に著者の言葉があります。
初対面の人にうまく笑えないというのは大人になっても何となくわかる感覚、著者の作品の邦訳はまだ少ないのでこれからが待たれます。
←「山形県山形市の古本屋さんとブックカフェ」前の記事へ 次の記事へ「北海道小樽市の古本屋さんと文学館」→