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「ギリシャ語の時間」本を買い取りました。

ギリシャ語の時間 (韓国文学のオクリモノ)
ハン ガン 斎藤 真理子
4794969775

買取価格 583円

 

1970年生まれの著者、アジア人作家として初めて英国のブッカー賞を「菜食主義者」で受賞。

晶文社の「韓国文学のオクリモノ」シリーズ第一弾の本作品。

ある日突然言葉を話せなくなった女。すこしずつ視力を失っていく男。

女は失われた言葉を取り戻すために古典ギリシャ語を習い始める。ギリシャ語講師の男は彼女の『沈黙』に関心を寄せていく。(本書より)

 

なんとなくベタベタのラブロマンスかと気構えましたが、ちょっと違います。主人公の女は何度か音葉を失うような事が過去にもあり、その過去の為に今度は大切な子供と離れなければならなくなってしまいます。

失語症という「そんなに簡単ではない」出来事を抱えながら、今はもう誰も話さなくなってしまった古代ギリシャ語を勉強しようとする女主人公と弱視のギリシャ語の講師。

なぜ彼女は一言も言葉を発しないのか、聴覚に異常があるのか?講師は様々な方法で彼女との距離を縮めていこうとします。お互いの気持ちのすれ違いは続いていきますが…一つの出来事がきっかけとなって…というと物凄く進展するかと思いそうですが、これがまたもどかしい事になっていくのです。

ボルヘスの墓碑銘で始まる本書は途中、プラトンの「国家」や「パルメニデス」の講義を挟みながら、またボルヘスにと戻っていきます。

 

まるで読んだ事のないタイプの純文学。読後、何か心地よいモノが残るのは物語がまだ終わっていないから。

二人にとっての結末は決して楽ではないけれど開かれたままであるからと著者も語っています。

上質な本に巡り合ったという充実感に満たされる一冊です。

 

 

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