「ソロ」本を買い取りました。
ソロ (エクス・リブリス)
ラーナー・ダスグプタ 西田 英恵
買取価格 1,198円
今年の初場所で優勝した角界のニコラス・ケイジこと栃ノ心。出身は「ジョージア」とアナウンスされていて、?と思った人も多いはず。以前はグルジアと呼ばれていた黒海に面するワインで有名な国です。
ヨーロッパでもあり、西アジアにも分類され、本書の後半の舞台にもなっています。
主人公は100歳の盲目の老人、過去に遡っていく第1章と現在の老人をとりまく環境と隣人達が綾なす関係の第2章から成り立つ本書。政治的なバックボーンをきっちり理解できなくとも読み進めることは可能ですが、第二次世界大戦を挟んでいるので、そこらをきちんとわかっていると、もっとわかりやすいでしょうね。
第1章は元素の名前でくくられています。第2章は哺乳類の名前。
化学実験が好きで化学者にもなりたかった主人公。今は目も見えず、頭の中の色々なものを整理する毎日。
一世紀に渡る彼の人生はブルガリアの政治情勢の変遷にさらされたものでした。
帝国主義からファシズム、共産主義、そして資本主義へと。
記憶は受け継がれずに失われてしまうものなのか。人間が死んだらその中に秘められていたすべては消えてしまうのか。第1章はこのテーマが繰り返し登場。第2章はそんな事は忘れたかのように様々な登場人物が動き回ります。
なのに第1章で登場した「二つのビー玉」や「ボリス」に引っかかりを覚えながら読んでいくと…最後のページに唸りました。
世界18カ国で翻訳された傑作長編!「2010年度英連邦作家賞」(コモンウェルズ賞)受賞、英ガーディアン紙の「読者が選ぶ文学賞」にも選出された本作。
まだ3月ですが今のとこ今年のベストワン!でした。