「銀杏手ならい」本を買い取りました。
銀杏手ならい
西條奈加
買取価格 377円
戦もある程度落ち着いた江戸時代、子供の教育にも目が向けられ「読み・書き・そろばん」は最低限の教育。
武士の子供はもちろん、庶民の子供も寺子屋や私塾に通っていた頃、江戸は小日向水道町にある手習指南書「銀杏堂」実をつけない銀杏の大木が目印。
田んぼも広がり、寺社も多く、武家地もあるので「銀杏堂」に通う子供達も様々。小緑の武家の子供、職人、商人、その日暮らしの裏長屋の子供まで。そんな「銀杏堂」に通う子供たちの抱える問題や事件、そして手習所の新米師匠である萌の出生の謎と捨てられた赤ん坊の行方。
登場人物が皆一様に癖があって面白いのは著者のいつものパターン。
寝る前にちょっと読もうと思って手に取りましたが、結局夜更かし、一気読みでした。
江戸時代は今と変わらず教育熱心な親御さんの多い時代だったのです。(しかもワンオペ育児ではなくイクメンは当たり前の良い時代)
そのため育児書や教育書といったものまで充実していたようで、「小児養育気質」(しょうにそだてかたぎ)・「和俗童子訓」(わぞくどうじくん)というベストセラーもありました。
大方の本で書かれているのは「とかく甘やかし過ぎてはいけない」という事だったそうで、その辺は今も昔も変わらないようですね。
本書の中で伊勢型紙の職人が登場します、着物の小紋や武士の裃に使われるもので、何枚にも重ねた和紙を小刀で彫って作るものですが、以前TVで見ましたが、気の遠くなるような作業でした。
そんな職人に憧れる少年も本作に登場します。
心が柔らかくなるような上質の時代小説を春の宵にどうぞ(^。^)
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