「アイリーンはもういない」本を買い取りました。
アイリーンはもういない
オテッサ モシュフェグ Ottessa Moshfegh 岩瀬 徳子
買取価格 611円
「わたしの名前はアイリーン・ダンロップといった。…わたしは24歳、週に57ドルもらって、10代の少年向けの民営矯正施設で事務員のような仕事をしていた。1週間後、わたしは家から逃げ出し、二度と戻らないことになった。これはわたしがどうやって姿を消したかについての物語だ。」本文より
アルコール依存症の父親と暮らすアイリーンは自分の女らしさを嫌悪し、食事もろくに摂らず、母親の遺したサイズの合わない服を着ている。シャワーも極力浴びず、体の汚れは極力我慢する。
1964年の設定、隣町の映画館でかかっているのは「軽蔑」や「007/ゴールドフィンガー」。
イメージする若い女の子とは逆行するような生活を送るアイリーン、単調な日々が続いていくかと思いきや…美しく魅力的なレベッカが登場することによって、転機は突然やってきます。
若い女性の日常を描いた文芸作品ですが、途中からサスペンスフルな急展開!後半から急加速で一気読み。
故郷の町で過ごす最後の一週間を50年後のアイリーンが語るという手法、その後のアイリーンに何が起こったかはブランクですが、それほど不幸ではなかったのではないかというのが読後の感想。父親との決別が大きかったのか、閉塞的なXヴィルの町から出る事が良かったのか…この間の物語は読者の想像に任せるという事なのでしょうね。
1981年生まれの著者は本作で長編デビュー、PEN/ヘミングウェイ賞を受賞。ブッカー賞、全米批評家協会賞、英国推理作家協会ジョン・クリーシー・ダガー賞の最終候補にノミネート。